ここでは、代表的な能の演目や公演予定の演目の舞台写真をあらすじ付きで紹介しています。
観能される前にさっと目を通していただくと、より楽しんでいただくことが出来るでしょう。
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「芦刈(あしかり)」 シテ:浦田保親
地位を得た妻と、落ちぶれている夫が、再び巡り会うという劇的なストーリーです。
見せ場の多い、シテの芸尽くしの曲となってます。
特に御津の浜の網曳きや節付け・舞の所作がとても面白く、この曲随一の見どころです。
津の国(大阪府)日下左衛門はあまりの貧困故に夫婦別れとなった。
妻は都へ上り、高貴な方の若君の乳母となり安定した生活を送っている。
ある時妻は 従者と共に難波の浦へ下り、夫の行方を尋ねたがわからず、
しばらく逗留して探す事にした。
一方左衛門は落ちぶれ、芦を売り歩く男になっている。
しかし彼はこれも運命と割り切り、
今日も又芦を売り歩いている。
そして妻の一行とも知らず芦を売り
仁徳天皇の皇居があった御津の浜の由来を語ったり、
笠尽くしの面白い舞を見せたりしていた。
そしていざ芦を渡そうとしたとき、買い手が妻の一行である事に気づく。
さすがに今の身を恥じて、小屋の中に隠れてしまう。
すると妻は夫のそばへ行き 優しく声をかけ、夫婦は和歌を詠みかわし、再び結ばれる。
左衛門は烏帽子・直垂姿に身を整え、祝儀の舞を颯爽と舞い、
やがて夫婦は仲良く都へ帰って行った。