ここでは、代表的な能の演目や公演予定の演目の舞台写真をあらすじ付きで紹介しています。
観能される前にさっと目を通していただくと、より楽しんでいただくことが出来るでしょう。
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「船弁慶(ふなべんけい)」 シテ:浦田保親/子方:浦田親良
この曲は、劇的なストーリー展開で、シテのみでなく登場人物全てが大事な役どころとなっています。
構成も、前半の優麗かつ哀愁の趣き、後半の勇壮な動きと、静から動へ、見せ場たっぷりの屈指の人気曲です。
兄頼朝から追われる身となった義経一行は、摂津国(兵庫県)大物の浦から西国へ
落ちようとしている。
静御前も同行しているが、弁慶が時節柄静の同行は相応しくないと進言し、
義経も了承する。
弁慶にその由伝えられた静は、余りの悲しさに泣き伏してしまう。
名残の酒宴が開かれ、静も気丈に別れの舞を舞う。
やがて出発の時刻となり、涙ながらに義経を見送る。
静と別れた一行は、船に乗り西国に向かって出発する。
すると俄に風が変わり、海上が荒れてくる。必死に船を漕ぐ船頭、行く末を案ずる義経や弁慶たち。
そこへ西国で亡びた平家一門の亡霊が現れる。
中にも平知盛の怨霊は、我々が沈んだ如く義経も海に沈めようと、襲いかかってくる。しかし義経は少しも 騒がず戦い、弁慶は懸命に数珠を押し揉んで祈ると、亡霊達は次第に遠ざかり、白波となって消えて行った。