ここでは、代表的な能の演目や公演予定の演目の舞台写真をあらすじ付きで紹介しています。
観能される前にさっと目を通していただくと、より楽しんでいただくことが出来るでしょう。
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「国栖(くず)」 シテ:浦田保親
壬申の乱を題材に作られた曲です。
当時の人々の天皇に対する崇敬や愛情が素朴に描かれています。
魚を川に放す場面(鮎之段)や追い手を追い返す時の気迫ある問答等、見せ場の多い曲です。
大きな船の作り物の中に子方を隠すところも、他の曲にはない面白い演出です。
清見原天皇は大友皇子に追われ、吉野の山中、国栖まで逃げてこられる。
そこへ川船に乗って老夫婦が帰って来て、我家の辺りに星が輝き紫雲のたなびくを見て、高貴な方が来られてると気づく。
侍臣は老人に天皇が来られてる由告げ、何か食事を差し上げるよう頼む。老夫婦は根芹と国栖魚(鮎)を差し上げる。
そしてその残りを賜った老人が、魚を川に放すと不思議に生き返り、天皇の行く末は吉兆だと喜ぶ。
そこへ追い手が迫って来てしまう。
すると夫婦は干してある船の中に天皇を隠し、
追い手をみごと追い払った。
天皇は夫婦に深く感謝し、また自分の身の 拙さを嘆かれ、
皆涙を流した。
やがて夜も更け、妙なる音楽が聞こえ天女が現れ舞を舞い、
つづいて蔵王権現が現れ、激しく威勢をあらわし、
天皇を守護する約束をし、御代を祝福する。