うらちか写真館

ここでは、代表的な能の演目や公演予定の演目の舞台写真をあらすじ付きで紹介しています。
観能される前にさっと目を通していただくと、より楽しんでいただくことが出来るでしょう。

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「松風(まつかぜ)」 シテ:浦田保親

    この曲は、「熊野 松風に 米の飯」と昔から言われ、多くの人々に愛された曲です。
    行平と松風・村雨の恋物語を、静かに且つ情熱的に描かれています。
    美しい海女が、月下に汐を汲み、恋しい人の形見を手に涙を流し、そして狂おしくも優麗に舞を舞う。
    正に、名曲中の名曲です。
  • 諸国を巡る旅僧が、ある秋の夕暮れに須磨の浦に着き、一本の由緒ありげな松を見つける。所の者に尋ねると、行平の愛した松風・村雨という海女の旧跡 であると教えられる。

    僧がその松を弔っていると、月明かりの中に二人の海女が忽然と現れ…
  • 夜汐を汲み、我が身を嘆きつつ、汐汲車をひいて帰って来る。
  • 僧は彼女達に一夜の宿を乞い、先般磯辺の松を弔った事を話すと、
    姉妹の海女は突然涙を流し出す。

    不審に思った僧が仔細を尋ねると、実は、昔この浦に流されていた行平に寵愛を受けた、
    松風・村雨の幽霊であると告げる。

    続いて行平との懐かしい思い出や、行平への追憶の思いを述べ、
    松風は、行平の形見の烏帽子・狩衣を手にし乍ら涙に咽ぶ。
  • やがてその装束を身につけた松風は狂乱の態となり、
    尚も行平を想い、狂おしくも優麗に舞を舞う。

    ついには松を行平であるかの如く寄り添い、涙を流す。
  • そして僧にあらためて回向を乞うかと見えたが、それは全て僧の夢の中での出来事であり、
    夜が明けると、磯辺には静かに松風の音だけが残っていた。