ここでは、代表的な能の演目や公演予定の演目の舞台写真をあらすじ付きで紹介しています。
観能される前にさっと目を通していただくと、より楽しんでいただくことが出来るでしょう。
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「山姥(やまんば)」 シテ:浦田保親
山姥は自然そのもの、また人間の象徴とも考えられます。
山巡りは苦行の連続である人生とも置き換えられます、鬼女と言われる凄みの中に、
人間味溢れる優しさも山姥には感じられます。
「山姥の山巡りの曲舞」を得意とする百万山姥という遊女は、
善光寺参りをを思い立ち従者と共に旅に出る。
途中、越中・越後(富山県と新潟県)の国境の境川に着き、その後の道を、
修行の為と最も険難な上路越えを進む。
すると俄に日が暮れ一人の女が声をかけてくる。
その女は自分の庵へ一行を案内し、山姥の歌を歌ってほしいと頼む。
遊女の従者が不審に思い名を尋ねると、自分こそ山姥であると言い、
夜が更けてから歌ってくれたら真の姿を現そうと言って消え失せる。
やがて夜も更け遊女が笛を吹いて待っていると、山姥が怪奇な姿を現す。
遊女が恐れながら所望のままに謡い出すと、山姥もそれに合わせて舞を舞い出す。
深山の光景・山姥の境涯、また春秋冬に花月雪をたずねて山巡りする様 を見せ、
また行方も知らず消えて行った。